ぼくの父さんもクリニックで往診をやっていて往診という言葉は知っていたが、実際、患者のお宅で何をしているのか想像上の存在でしかなかった。
総合診療科の臨床実習の一環として、医療法人社団守成会 広瀬病院(神奈川県相模原市緑区)に見学行きました。
往診という言葉は何度か聞いたことがあったが、患者宅を訪問して実際、医師が何をしているのか想像できなかった。廣瀬先生の往診に付くと百聞は一見に如かずだと思いました。廣瀬病院などの在宅療養支援病院は超高齢化社会を迎えた日本が医療のパラダイムシフトをしていくうえで、診療所のない地域において在宅医療の主たる担い手となる病院である。病棟での回診と80代後半の女性の往診を見学しました。
回診時に学んだこと
→食事が出来るかどうかをメルクマールとして高齢者に対する検査、治療、食事は出来るだけ苦痛の少ないものを選択する。治療することを前提とはせず、希望する医療の終え方をサポートすることを念頭に置いていた。患者、家族の選択と歩調を合わせるためにインフォームドコンセントを密にとっていた。時に自分の意見と合わないときもあるそうだが、基本的には患者側の意見を尊重しているそうだ。ステロイドの副作用によって体中がパンパンになってしまった年老いた患者に対して治療を継続していく場面を見て、延命治療の果てに病院で死を迎えることに疑問を抱き、ぼくの中でもこの疑問への回答は永遠の命題になるのでないかと思いました。
往診時に学んだこと
→患者の現症を診察し、ポータブルエコーを用いて僧房弁狭窄の状態も見ていた。簡単な処置はしていたが、治療出来ることは限られているので、入院させるべきか判断しているようだった。高齢者の在宅医療をすることは家族、ヘルパーが患者に介在していることが多く、医療者はしばしば板挟みになってしまう。在宅医療をすることで住み慣れた住まいで得られる幸せによって得られる医療を制限されるということを患者にも理解してもらう必要がある。
医療のパラダイムシフト
これmでの急性期医療を主体とした病気の完全治癒、社会復帰、救命、延命、を目指す医療よりも、高齢者や慢性期医療を中心とした障害とともに生きる社会参加などを希望するライフスタイルの遂行、希望する人生の終わり方をサポートする医療がより求められてきている。日本が抱える問題がこの転換にはキーになってくるんだけど、
- 人口構造の変化
騎馬戦型→肩車型に移行している。つまり高齢者の占める割合が多く生産年齢の割合が少ないってこと。
- 社会保障制度の見直しが追いついていない
医療の効率化、社会的入院の是正、生活の質重視な医療になってきているんだけど、制度自体が追いついていない状況。
- 疾病構造が変化し、慢性疾患の増加
医療が高度化しているので若死には減少した。従って老いの長期化につながる。
→サルコペニア、ロコモティブシンドローム、認知症、老衰の増加
- 医療の進歩とCUREを目指す医療の方向性の限界
→CUREからCAREに変化する時代になっています。救命できても障害は残るとか癌治療とかはもう限界が来ている。
- 終末期医療に対する期待の変化
長寿より天寿を求めるようになってきている。医療の重点が生活の質になっている。
まとめ
急性期の医療は専門分化していくことでサイエンスとしての治療にだけ重きを置いていても事足りるが、在宅医療ではそうはいかない。患者を含め医療、介護、福祉をどう一体化していけばよいかを考えていかなければならない。その為には自分の医療に対する理念をより一層日頃から考え続ける必要があると感じた。大学病院内での実習では見ることが出来ないこのような機会を頂きありがとうございました。
コメント待ってます!