外来で「どんな運動をしたほうがいいですか?」って聞かれることが多い。8500歩あるきましょう!
先日の記事で8500歩を推奨したのですが、どうやら無理ぽいことが判明しました。
先週のぼくの平均歩数は8748歩。スマホを割りと肌身離さず持ち歩いているので、だいたいくれくらいの値にはなっていることでしょう。
金曜日は学会があったし、月曜日はツマとツマの妹と遊んだので、それなりに歩いた週ではあったのですが、ギリギリ達成できたかなという感じです。ましてや、高齢者の方が達成するのは難しいことなんだと思われます。
Association of Step Volume and Intensity With All-Cause Mortality in Older Women
2019年の論文をひっぱてきました。
- 高齢の女性なら1日4,400歩でもかなりいいんじゃない?
前回記事では8500歩を推奨してましたが、達成しなければ意味がないです。外来とかで聞いてみても達成できているのはごくわずかです。
ハーバードなどの研究で、どんなデザインだったかと言いますと、
- 16,741人の高齢女性(平均年齢72歳)に活動量計を着けてもらう
- 7日間の活動量計のデータを集めて全員がどれぐらい歩いているかを把握
- 4.3年の追跡調査を行い、歩数と死亡原因の関係性を調べる
みたいになってまして、調査中に504人が亡くなったとのこと。参加者の歩数データを四分位数にすると、だいたい1日ごとに以下のようになってます。
- 2700歩
- 4400歩
- 5900歩
- 8400歩
でもって、いろんな外部要因を調整したところ、以下のような傾向が確認されました。
- 1日4400歩を超えてるグループは、1日2700歩のグループに比べて死亡リスクが低かった
- 死亡リスクの低下は1日7500歩まで確認され、そこでレベルオフした(つまり、それ以上は歩いてもメリットが確認されなかった)
- 歩行強度は健康メリットとあんま関係なさそう
- 1日の歩数が1000歩増えるごとに全死亡率が15%下がる
ということで、「4400歩でも結構イケるんじゃないの?」というナイスな結果だったんですよね。これはだいぶ敷居が下がりましたなぁ。
ただし、当たり前ですが、これは「歩けば死亡リスクが下がる」ってことを証明した研究ではありませんし、
- 活動量の記録が、たった4〜7日間のデータをもとにしている(同じ活動量が数年にわたって続くかはわからない)
- 16,741人のうち504人で全死因死亡率を割り出している(このサンプル数で傾向をつかむのはちょいこころもとない)
- 先行研究では、「1日に7500歩より多く動いた方がいい」って結論を出したものも少なくない
みたいな難点もありまして、やっぱ判断がムズいよなーとも思っております。
まぁしかしこのデータを見て思うのは、
- 運動ぎらいで高齢の親を持つ人が、「まずは1日4500歩ぐらいを目指してみたら!」というアドバイスしてみるのはあり(そこからジワジワ歩数を上げるように誘導する)
- 若い人はやっぱ1日1万歩以上はあるても損はないんじゃないか?
といったところですね。外来でどれくらい歩けばいいですかねと聞かれたときは4500歩はあるきましょうと言えますね。全然動かないことが問題なので、最低限の目標を達成してできるだけ廃用予防につながればいいのではと考えられます。
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