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不眠症に勝つための12か条

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日常の診療をしていると必ず訴えとしてあるのが、睡眠に関する訴えだ。当直をしていると殊更多い。この研修医の2年間に聞かれたのは、

  • 寝付けない、熟睡出来ない
  • 寝付けるタイミング
  • 日中に眠い
  • 夜中に叫んでしまう、動き回る
  • 睡眠時間が極端に長い、短い
  • 足がムズムズする、足がピクピクする
  • いびき、呼吸が止まる

とかが挙がる。これらは睡眠障害の1つと言えるが、一つ一つを見ても原因が定まっているわけではない。睡眠障害のスクリーニングにも順番があり、

うつ病→睡眠関連呼吸障害(睡眠時無呼吸症候群)→睡眠関連運動障害(レストレスレッグス症候群、周期性四肢運動障害)→中枢性過眠症(ナルコレプシー)→睡眠時随伴症(レム睡眠行動障害)→概日リズム睡眠障害→その他の睡眠症

うつ病による睡眠障害は自殺リスクがあり、疑ったら精神科に相談したほうがよさそう。

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不眠症とは

定義:睡眠の開始と持続、一定した睡眠時間帯、あるいは眠りの質に繰り返し障害が認められ、眠る時間や機会が適当であるにも関わらずこうした障害が発生してその結果何らかの昼間の弊害がもたらされる。不眠症は睡眠障害の1つで、その症状から入眠障害、中途覚醒、早朝覚醒、熟眠障害に分けられる。日本人には5人に1人に認められ、入眠障害が多い。

入眠障害

入眠までに1時間以上かかる。

原因としては環境(気温、温度、音、照度)の影響、長時間・遅い時刻の昼寝、喫煙、カフェイン摂取、時差ボケ、交代勤務などの要因が挙がる。

中途覚醒

夜中に何度も目が覚め、再度寝付けない。

原因としては、うつ病、睡眠時無呼吸症候群、飲酒、ストレスなどが挙がる

早朝覚醒

朝早く目が覚めて、寝たいけどそれ以上眠れない

原因としては、うつ病、季節変化(日照時間の変化)時差ボケ、交代勤務、加齢などが挙がる

熟眠障害

ウトウトした眠りで寝た気がしない。原因としては上の3つの原因と重なる。

不眠の原因

4つの不眠の型から不眠の原因を分類すると、

  • 生理学的不眠・・・眠るための環境や身体の準備による
  • 心理学的不眠・・・心理的ストレスや不安などによる
  • 薬理学的不眠・・・嗜好品(カフェイン、ステロイド)、薬剤による
  • 身体的疾患に伴う不眠・・・罹患した疾患による
  • 精神疾患に伴う不眠・・・精神疾患による

ってことは睡眠衛生指導が大事ってことがわかります。

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不眠時に振り返りたい12か条

睡眠は自分の思い通りにならない。思い通りにしようとしている時点で自分の脳が活動しています。眠りをどうにかしようとすれば覚醒中の行動を調節するしかない。睡眠障害の診断・治療ガイドライン作成とその実証的研究班の報告書を参考にして書いてます。

①睡眠時間は人それぞれ、日中の眠気で困らなければ充分

  • 睡眠時間を決めつけない。8時間寝なきゃとか。
  • ロングスリーパー、ショートスリーパーがいる
  • 同じ人でも季節によって睡眠時間は変化する
  • 同じ人でも歳を取ると必要な睡眠時間は短くなる

②刺激物を避け眠る前に自分なりにリラックスする

  • カフェイン、興奮する映画や読み物など、交感神経が緊張する刺激を避ける。(楽しいことも、ストレスになることもダメ)
  • 就寝前4時間のカフェイン摂取、就床前1時間の喫煙は避ける。
  • 眠る前には軽い読書、音楽、温めの入浴(熱すぎる湯はNG→温泉行ったときに眠れなくなるよね)香り、筋弛緩トレーニング

③眠たくなってから就寝、就寝時間にこだわらない

  • 眠る時間を決めつけない
  • 眠ろうとする意気込みが頭を冴えさせ寝付きを悪くする

④同じ時刻に毎日起床

  • 眠る時刻よりも起床時刻を決める
  • 早寝早起きではなく早起きが早寝に通じる
  • 日曜(休日)に遅くまでベッドで過ごすと月曜(翌日)の朝がツラい

⑤光の利用で良い睡眠

  • 目が覚めたら日光を取り入れ、体内時計をスイッチオン
  • 寝室に朝の明るさが足りないときはタイマーで作動する光治療用の機器を使ってもよい
  • 夜は明るすぎない照明にする。真っ暗で眠れない人は眠りを邪魔しにくい電球色などの赤っぽい光にしておく。
  • 蛍光灯やスマホ、パソコンなどの青っぽい光はね無理を邪魔するので注意する。

⑥規則正しい三度の食事、規則的な運動習慣

  • 朝食はこころと体の目覚めに需要である
  • 夜食はごく軽くしておく
  • 睡眠の不足は過食につながる
  • 運動習慣は熟睡を促進する

⑦昼寝をするなら、15時前に20〜30分程度

  • 長い昼寝は深睡眠モードに入ってしまい、かえってぼんやりのもとに。
  • 夕方以降の昼寝は夜の睡眠に悪影響を及ぼす。

⑧眠りが浅いときは、むしろ積極的に遅寝、早起きに

  • ベッドで長く過ごしすぎると熟眠感が減る
  • 眠さを作り出すには寝不足状態が一番である
  • ただし、夜ふかしは睡眠時間が遅い方向にずれる恐れがあり、やはり早起きすることで睡眠不足を作り出すのが良い。

⑨睡眠中の激しいイビキ、呼吸停止や足のぴくつき、ムズムズ感は要注意

  • 背景に睡眠の病気がある可能性があり、専門治療が必要です
  • 本人は眠っているので家族に見つけてもらうしかありません

⑩充分眠っても日中の眠気が強い時は病院へ

  • 睡眠の質が疑われる、睡眠の充実度合いは寝ている時間ではない
  • 長時間眠っても日中の眠気で仕事、学業に支障がある場合は専門医に相談を。
  • 車の運転に注意する

⑪睡眠薬代わりの寝酒は不眠のもと

  • お酒は浅い睡眠を維持する薬→ベンゾジアゼピン系と似ている
  • 睡眠薬変わりの寝酒は深い睡眠を減らし夜中に目覚める原因となる
  • 量や効果の持続時間の調整ができる入眠薬を勧める

⑫睡眠薬は意志の指示通りに

  • 睡眠薬の最大の利点は調節できること。始め方、やめ方を理解して指導する
  • 一定時刻に服用し就床。
  • アルコールとの併用をしない

 

以上をまとめると、

ベッドで眠れないという負の条件付を減らす

寝室を眠る環境として条件づける方法

 

を実践してみましょう。

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