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米津玄師の『lemon』を僕なりに紐解く

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ドラマ『アンナチュラル』の主題歌であり、歌詞検索でもランキング上位にある米津玄師の名曲『Lemon』。人の死について描いた歌詞になぜレモンが登場するのか、そこに込められている想いや意味を紐解きます。

当初は法医学者を取り上げたドラマの主題歌のため、「傷ついた人たちを優しく包み込むような曲」といコンセプトで依頼を受けたそう。

檸檬がなんのメタファーなのか考える時に、すぐに思いついたのは梶井基次郎の檸檬だ。中学生の時に初めて読んだ時にあまりに狂気じみた内容に驚いた。檸檬を爆弾と錯覚してしまうのだかは何か精神病の類を感じざるを得なかった。

しかし、lemonの歌詞を読んでみると、2人の関係性を歌っていることがわかるので、あまり合致しない。公開当初この事を彼女の妹に話したら、すぐに答えを導いてくれた。高村光太郎とレモン哀歌だ。これも学生時代に読んだ小説の1つ。智恵子抄の一編である。1分もあれば読み切れるので、ネットで調べたら全文公開されてるので是非是非読んで欲しい。僕の恋愛観を形成する上での一部であることは間違いない。

わかりやすく書くと、智恵子が精神病に寝ている時に、檸檬を買って行ってあげたところ、一瞬だけ正常を取り戻したという話しです。

これを踏まえてlemonに戻りたいと思う。

夢ならばどれほどよかったでしょう

未だにあなたのことを夢にみる

忘れた物を取りに帰るように

古びた思い出の埃を払う

受け入れられない過去に対してこれから語り始めることを表してる。なにか長編映画がはじまりそうな絵が浮かび上がってきます。

戻らない幸せがあることを

最後にあなたが教えてくれた

言えずに隠してた昏い過去も

あなたがいなきゃ永遠に昏いまま

最後とは最期なのか?あなたがだれを指しているかはわからないが、歌詞を含め詞というものは受け手の経験と併せて感じ取ってもらって良いと思う。生きていれば喪失は必ず経験する。ずっと引きずる喪失はだれにだってあるので、lemonは再生数など記録を更新していくのだろう。

昏いとい言葉。医師をやってると、昏睡という言葉が出てきた。痛み刺激でも反応がないくらい意識状態が悪いという意味で使うので、昏という字には100%という意味を含むかと勘違いした。

黄昏でもつかうが、だんだんって意味らしい。薄れてくる過去。隠したい過去。それを打ち明けてもいいぐらいの相手。

あの日の悲しみさえ あの日の苦しみさえ

そのすべてを愛してた あなたとともに

胸に残り離れない 苦いレモンの匂い

ここでついに出てくるレモン。レモンって酸っぱいイメージがあるのに苦手レモンの匂いとはなんでしょうか?レモン哀歌に戻ると、智恵子はレモンを皮ごと齧りました。さすがにレモンの皮は苦いでしょう。それぐらい強烈だったことを表しているのかもしれません。

学生のとき、果実や色を英語圏の人はどのようにイメージしているかの授業があった。レモンは不明確とか歪を意味するそうだ。看病が長引く程に感じる非日常の比喩になってるかもしれない。

暗闇であなたの背をなぞった

その輪郭を鮮明に覚えている

受け止めきれないものと出会うたび

溢れてやまないのは涙だけ

2番になるのですが、ここから主観が変わった事がわかります。病床に横になっている時に誰かのお見舞いはとても嬉しいですが、帰る時に背を見るときは同じくらい悲しさが込み上げてきます。受け止めきれないものは多分不治の病の増悪を意味しているのかもしれません。

切り分けた果実の片方の様に

今でもあなたはわたしの光

先程書いたようにレモンは歪さの象徴として描かれている一方で、切り分けてしまうと様相は代わる。神仏の後光のように見えなくもない。レモンを切り分けてしまうと、お互いに心の支えになっていたのだ。

ぼくの中で大きな死のイベントといえば母の死が挙がる。母の名前が丁度智恵美って名前だったから智恵子抄とよく被る。

 

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