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ヨルシカの『都落ち』を聞きながら思う”前進、ときどき、葛藤。”

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ヨルシカが4月5日に公開した音楽画集『幻燈』に収録されている『都落ち』。ぼくの当分の人生のテーマは都落ちであるから物思いに耽るのにぴったりな音楽を提供してくれた。前進、ときどき、葛藤。をテーマに制作されたこのMVは和の世界観を感じる風景の中で目向きな感情の中に潜む葛藤を女性の踊りで表現している。

万葉集第2巻116番の歌がもとになっているようです。

人言を繁み言痛みおのが世にいまだ渡らぬ朝川渡る

禁断の恋で噂が立ってしょうがないから人気のないところに身を潜める的な解釈でよいかと思います。但馬皇女が穂積皇子に対する恋心を詠んだ歌ですが但馬皇女は高市皇子のいう夫がいました。つまりこれは、但馬皇女と穂積皇子の禁断の愛の歌なのです。

花咲や 赤ら引く頬に

さざなみ寄るは海

貴方は水際に一人微笑むだけ

今、思い出に僕は都落ち

花咲やは多分梅のことを指しているのだろう。桜よりもやや早く咲く梅を古代の日本では繁栄の象徴のとして読み込まれることが多かった。赤ら引くという枕詞のあとに頬が来てこれもまた朝日が差してくることを表している。貴方に会うため(駆け落ち?)するために朝早くからこの川を渡ろうとしている。

鼻歌、綺麗だね

明日には往くんだぜ

海猫が鳴いたね

鳥でも泣くんだね

心なし乾いたら別れの時間だぜ

夏風揉まれて貴方に浅い影

都落ちするための船は発つ。海猫が泣くように貴方も泣いていた。そんなことも虚しく、思いやりもなく別れの涙が乾いたら別れの時間が来る。

ボートとほとりに桜の木がある川

さらり花咲くや 赤ら引く頬に

さざなみ、夜は海

貴方は水際一人手を振るだけ

今、思い出に僕は都落ち

いよいよ別れの時間になりました。水際で一人手を振るだけということで、私のほうが都を去るということがようやくわかりました。

人里離れて鳴る音は向かい波

飛ぶ鳥は遠くへ明日から向こうまで

旅立った船の描写を描いています。明日から向こうまでというフレーズが未来に向けて明るいイメージを植え付けてくれます。

水に落ち流れやがて憂き

貴方に焦がれる舟は海

惜しみ書く指は思う丈ばかり

散る思い出は波か都落ち

水の中に落ちると自由を奪われます。一時は憂いの気持ちがわきますが、やがて浮上してくることになります。相手のことを思って出発した舟は今は海上にあります。相手のことを思うと筆をとっても相手への気持ちばかりが溢れてきます。

恋ふらくはあから引く頬の

寄せ消ゆ波の花

貴方は水際の一人微笑むだけ

今、思い出に僕は

波の花=冬です。日本海岸に見られるこの冬景色は夏から冬へと場面転換があり、時の流れも表しています。恋が終わってしまい相手が見えるたびに寂しい思いにふけっているようです。

今、左様なら 僕は都落ち

左様ならと書けばそのようであればという意味ですが、さようならとも捉えることができます。別れを決意したのです。

近くに都落ちする場所があり続けるというのもストレスになります。安住の地であればよいのですが、その場に手を振っても返されることもなく、自分は孤独な旅を続けるしかないと思ったのかもしれません。

曖昧な場所ですが、当事者にとってみたらリアル以上でもなく以下でもないのです。いつかは払拭しなければならない事は誰にでも人生のポイントにあるでしょう。こういった意味でもこの歌詞には深く共感する人は多いと思われます。

 


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